Humankind 希望の歴史
- 渡邉 定好
- 2月18日
- 読了時間: 3分
2月17日 武田鉄矢・今朝の三枚おろし
原人類が生き残った理由について、武田氏はどのような仮説を紹介しているか。
武田氏は、原人類が生き残った理由について、モスクワ大学のベリアフ教授が行ったキツネの家畜化実験を基にした仮説を紹介しています。
その仮説のポイントは以下の通りです。
家畜化:家畜化された動物には、耳が垂れる、尾が巻き上がる、シルエットが丸くなる、頭や牙が小さくなるなどの共通点が見られる。
人懐っこさ:ベリアフ教授の実験では、人懐っこいキツネがわずか4世代で生まれた。これらのキツネはセロトニン(幸せホルモン)やオキシトシン(愛情ホルモン)の分泌が多かった。
幼形成熟(ネオテニー):家畜化された動物、そして生き残った原人類には、幼形成熟、つまり子供のような外見的特徴を持ちながら成熟しているという特徴がある。
愛されること:人懐っこい顔つきが、他者から愛されることに繋がり、それが生存戦略となり得たのではないか。
集団への愛情:愛情と幸福を司るホルモン(オキシトシン、セロトニン)を多く持つ人類は、自分の集団を愛する一方で、他の集団に対して残酷になる傾向がある。
協力性:協力的な姿勢を示すことが、人類が生き残る上で重要だった.
ベリアフ教授の狐の家畜化実験は何を示唆するか?
米兵が命令下でも発砲をためらった理由について、武田氏はルトガー・ブレグマン氏の著書におけるサミュエル・マーシャル大佐の調査結果を紹介しています。
1943年11月、太平洋のギルバート諸島での夜間戦闘で、日本軍が闇の中から突撃してきた際、米軍は混乱して撤退しました。マーシャル大佐が兵士たちに敗北の理由を尋ねたところ、「撃て」という命令が出たにもかかわらず、発砲した兵士が一人もいなかったことが判明しました。
マーシャル大佐は様々な戦場を調査し、銃の引き金を引いた兵士は全体の15%に過ぎないという結果を得ました。その理由として、兵士たちは人を殺すことを嫌がったからだと述べています。
兵士は、上官が見ている状況であれば発砲するものの、そうでない場合はほとんど発砲しなかったとされています。
ルトガー・ブレグマン氏は、戦場における銃撃戦のイメージはハリウッド映画の影響を受けていると指摘しています。
なぜキティ事件は誤って報道されたか。
武田氏が引用するルトガー・ブレグマン氏の著書「希望の歴史 ヒューマンカインド」によると、キティ・ジェノヴェーゼ事件は、事件発生時に38人が見ていたにもかかわらず、誰も警察に通報しなかったという内容で報道されましたが、実際にはいくつかの誤りがありました。
通報の認識のずれ: 窓を開けて様子を見ていた38人のうち、3人の人が同時に「誰かが電話しているだろう」と思い込んでいました。
夫婦の証言: 老夫婦の証言によると、夫が電話をかけようとした際、妻が「もう誰かが電話している」と言って止めたとのことです。
傍観者効果: 多くの人が見ている状況では、「誰かが行動するだろう」という心理が働き、結果的に誰も行動しない傍観者効果が働いたと考えられます。
メディアの歪曲: ニューヨーク・タイムズをはじめとするメディアは、この事件を**「人間の本性の悪」**を証明するものとして報道しました。 スタンフォード監獄実験やミルグラム実験などが、その根拠として引用されました。
事件の再検証: ルトガー・ブレグマン氏が事件を再検証した結果、メディアの報道とは異なる側面が見えてきました。
したがって、キティ事件は、傍観者効果という心理現象が働いたこと、そしてメディアがセンセーショナルに**「人間の悪」**を強調して報道したことによって、事実と異なる内容で伝えられたと考えられます。
Comments