イギリス:人口と移民問題、崩壊の危機
- 渡邉 定好
- 2月14日
- 読了時間: 4分
どのような要因が、イギリスの人口増加とそれに伴う社会問題を引き起こしているのか?
イギリスの人口増加とそれに伴う社会問題は、主に移民の増加と、それに起因する住宅不足、社会保障の問題、そして経済への影響によって引き起こされていると考えられます。
人口増加の要因:
移民の増加: イギリスの人口増加の主な要因は、移民数の増加です。2023年時点の人口は6830万人でしたが、2032年には7250万人に達すると予測されています。この10年間で7.3%の増加が見込まれており、以前の10年間の6.1%よりも伸びが加速しています。ただし、この予測は移民の増加が穏やかになるという見通しに基づいていますが、実際には想定を上回る移民の流入が続いています。
出生数と死亡数: 現在は出生数が出生数よりも多い状況ですが、2029年を境に死亡数が出生数を上回ると予測されています。これは、第二次世界大戦後のベビーブーマー世代の高齢化が進んでいるためです。移民がいなければ、人口は緩やかに減少していくと予想されています。
社会問題:
住宅不足とホームレスの増加: 人口増加に伴い、住宅不足が深刻化し、ホームレスの数が増加しています。2024年12月時点で、イングランドとウェールズでは35万4000人がホームレスであり、そのうち16万1500人が子供です。住宅不足が家賃の高騰を招き、ホームレス増加の要因となっています。
社会保障の問題: 大量の移民が流入することで、仕事がない状態で国のサービスをただで受ける人が増え、社会保障への負担が増大します。
治安の悪化と社会の混乱: 人口増加とともに、治安の悪化や社会の混乱が高まることが懸念されています。
経済への影響:
経済成長の鈍化: 移民がいなければ人口が減少するため、経済成長率が鈍化すると予想されています。
富裕層の流出: 富裕層がイギリスを離れる傾向にあり、税収面でも厳しさが増しています。2017年から2023年にかけて1万6000人、2024年には9500人の富裕層が流出したと推計されています。
国家財政の脆弱性: イギリスは慢性的な経常収支赤字であり、いわゆる双子の赤字の状態です。国際発行を国内で賄うのが難しく、資金不足に陥りやすいという金融面での脆弱性があります。経済が低成長で社会保障が脆弱な状況で、財政を拡大することが難しい状況です。
移民政策の影響:
不法移民の増加: 労働党政権が不法移民に優しいメッセージを出したため、ドバー海峡を渡ってくる不法移民の数が増加したと指摘されています。2024年には3万6000人が不法にイギリスに渡ってきており、2023年の2万9000人から増加しています。
これらの要因が複合的に作用し、イギリスの人口増加とそれに伴う社会問題を引き起こしていると考えられます。
富裕層のイギリス流出はなぜ深刻か?
富裕層のイギリス流出が深刻化している背景には、複数の要因が複合的に絡み合っていると考えられます。
まず、税制面での厳しさが増していることが挙げられます。イギリスの国家財政は、2022年のトラスショック以降、政府債務の対GDP比が高い水準にあり、慢性的な経常収支赤字を抱えています。このような状況下で、富裕層への課税が強化される傾向にあり、彼らが国外へ流出する要因となっています。
次に、経済の低迷と社会保障の脆弱性も影響していると考えられます。イギリス経済は低成長が続いており、社会保障制度も十分とは言えない状況です。このような状況下で、富裕層はより経済状況が安定している国や、より充実した社会保障制度が整っている国へ移住する傾向があります。
さらに、移民問題も富裕層の流出を加速させている可能性があります。イギリスでは、移民の増加によって住宅不足や家賃の高騰、医療資源の不足といった問題が発生しています。治安の悪化や社会の混乱も懸念されており、これらの要因が富裕層の生活の質を低下させ、国外への移住を促していると考えられます。
実際に、イギリスからの富裕層の流出は顕著になっています。イギリスの移住アドバイザー会社の推計によると、2017年から2023年にかけて1万6000人、2024年には9500人の富裕層が流出したとされています。ここでいう富裕層とは、金融資産100万ポンド(約1億9000万円)以上を保有する人々を指します。また、スイスのプライベートバンク大手UBSのレポートでは、2028年までに準富裕層を含めて50万人がイギリスを離れると予測されています。
「モハピーチャンネル」の解説では、富裕層の流出が税収面でイギリスをさらに厳しくすると指摘されています。富裕層の流出は、イギリス経済全体に悪影響を及ぼす可能性があり、今後の動向が注目されます。
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