経営者が知るべき財政金融の真実:お金の発行の仕組み
- 渡邉 定好
- 2月26日
- 読了時間: 6分
大西氏の講演は、現代の金融システムにおけるお金の発行の仕組み、特に借金とお金の密接な関係について解説しています。 日本のマネーストックが増加し続ける一方で、民間への貸し出しが伸び悩んでいる現状を指摘し、政府の借金が増加していることを明らかにしています。 政府が借金をしてお金を発行し、それが国民の所得を増やすメカニズムを説明し、政府の黒字は国民の赤字であると主張しています。 氏は、現在の金融システムが借金に依存し、経済成長を必要とする構造的な問題を抱えていると批判しています。 そして、政府通貨の発行を提案し、中小企業の意識改革と行動が経済を変える可能性を強調しています。
なぜ現代のお金は借金の裏返しという仕組みになっているのでしょうか?
現代のお金が借金の裏返しという仕組みになっている理由は、銀行が誰かにお金を貸し出す際に、その人の預金口座に数字を書き込むことで新しい預金が生まれるからです。
お金の創造: 銀行が誰かに融資を行うと、その瞬間に銀行はその人の預金通帳に金額を書き込みます。このとき、誰かの現金や預金が減るわけではありません。銀行が単に数字を書き込むだけで、新しい預金が創造されます。
預金の裏側: 預金通帳に書かれた数字は、誰かが銀行から借りたお金の結果です。預金者は送金を受け取ることでお金が増えたと感じますが、そのお金の元をたどると、誰かが銀行から借りた瞬間に銀行が作った数字に行き当たります。
借金とお金の表裏一体: 現代のお金は、ほぼ借金の裏返しであり、お金と借金は表裏一体の関係にあります。誰かが借金を返済すると、その分のお金が消える仕組みになっています。
金融システムの維持: 現代の金融システムでは、誰かが常に新しい借金をすることで、お金が Circulation し続ける必要があります。既存の借金が返済されると、お金が消えてしまうため、新たな借金によって新しいお金を創造しなければ、経済は停滞します。
国の役割: 民間の借金が増えにくい状況下では、政府が国債を発行して借金をすることで、お金を Circulation させます。政府が借金をして支出を増やすことで、国民のお金が増える仕組みになっています。
穴と土: 大西氏は、この仕組みを地面に穴を掘って土を盛り上げるイメージで説明しています。穴が借金であり、盛り上がった土がお金です。穴を埋め戻すと、お金も借金もない状態に戻ります。常に誰かが穴を掘り続け、土を盛り上げ続けることで、お金が Circulation し続けると説明しています。
お金の Circulation: お金のスピードが重要であり、お金が Circulation すればするほど経済が活性化します。お金が Circulation しなくなると、経済全体の動きが鈍くなり、企業は利益を溜め込み、給与が上がらない状況が生じます。
政府が赤字であることは国民にとって良いことか?
政府が赤字であることは、国民にとって良いとされています。その理由は以下の通りです。
政府の赤字は国民の黒字: 国民の赤字は政府の黒字であり、逆に政府の赤字は国民の黒字となります。政府が赤字で借金をしてお金を使うほど、国民の所得は増加します。
税収と予算の関係: 政府が税収以上の予算を組む場合、国債を発行して資金を調達します。例えば、70兆円の税収しかないにもかかわらず90兆円の予算を組む場合、政府は20兆円の国債を発行します。
銀行の役割: 銀行は国債を買い取る際、新たにお金を創造して政府に貸し付けます。この結果、国民は70兆円の税金を支払っても、政府から90兆円を受け取ることになり、差し引き20兆円、国民のお金が増加します。
お金の創造: 政府が借金をして銀行に新たにお金を創造させ、そのお金を国民に使うことで、国民のお金と政府の借金は並行して増加します。
地方財政との違い: 地方政府は中央政府とは異なり、収支トントンであることが望ましいとされています。しかし、中央政府は赤字でなければならず、お金と借金を増やし続ける必要があります。
政府の借金と金融システム: 現在の金融システムでは、政府が借金を増やし続けることでお金を Circulation させる必要があります。もし政府が借金を増やさなくなると、金融システムが手詰まりになる可能性があります。
政府が借金をためらうことの問題点: 政府が借金を嫌い、支出を抑えることは、経済全体の停滞につながる可能性があります。新型コロナウイルス対策において、日本政府の支出が少なかったことが、円安につながったという指摘もあります。
MMT(現代貨幣理論): 政府は財政破綻しないという考え方があります。しかし、大西氏は、借金に頼り続けることには反対であり、政府が新たな貨幣を発行することを提案しています。
お金がないと存在しないものは何ですか?
お金がないと存在しないものは借金です。
お金は借金がないと存在しません。誰かが銀行からお金を借りた瞬間に、銀行がその人の預金通帳に数字を書き込むことで新しい預金が生まれます。
現代のお金は、ほぼ借金の裏返しであり、お金と借金は表裏一体の関係にあります。
借金は、穴を掘って土を盛り上げるイメージで説明できます。穴が借金であり、盛り上がった土がお金です。
現代の金融システムでは、誰かが常に新しい借金をすることで、お金が Circulation し続ける必要があります。
政府通貨発行論の問題点は何ですか?
政府通貨発行論(政府が借金ではないお金を発行する)の問題点は、金融機関にとって最も都合が悪いという点です。
金融機関の不利益:
現在、政府は国債を発行して資金を調達しており、金融機関はその国債を購入することで利益を得ています。
政府は税金から国債の利息を金融機関に支払っています。
政府が自ら通貨を発行できるようになると、金融機関からお金を借りる必要がなくなります。
金融機関は、最も良い顧客(政府)を失うことになります。
既存の金融システムの維持:
MMT(現代貨幣理論)は、政府が財政破綻しないという考え方を支持し、政府が借金を続けることを容認します。
これは、金融機関が政府からの利息収入を得続けることを意味します。
政府通貨発行論は、ハイパーインフレや財政規律の崩壊を引き起こす可能性があるとして、金融機関によって批判されることがあります。
大西氏の主張:
大西氏は、政府が借金ではない新たな貨幣を発行することで、利息を金融機関に支払う必要がなくなると主張しています。
しかし、金融機関はこの政府通貨発行論を最も嫌うだろうと述べています。
大西氏は、政府通貨発行は法律改正が必要であり、実現は容易ではないと認識しています。
その他の問題点
既にお金と借金が表裏一体となっている状況で、政府が新たに通貨を発行した場合、インフレになる懸念がある
政府が通貨を自由に発行できることで、財政規律が緩み、無駄な支出が増える可能性がある
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